サロンで使い続けるということ

Graciasでヘナだけを使うようになって、もう10年以上になります。

一度もやめようと思ったことはありません。それは、自分のサロンで毎日使い続けているからこそ分かることが、今もあり続けているからだと思っています。


使いながら、気づいていったこと

サロンで使い始めると、試作の段階では見えなかったことが出てきます。

お客様の髪質はそれぞれ違います。放置時間のわずかな違いで仕上がりが変わる。季節によって、素材の状態も変わる。「良い製品ができた」という確信と、「まだ分かっていないことがある」という感覚が、ずっと並走していました。

気づいたことはそのたびにメモして、工場長に伝えました。向こうから改良の提案が来ることもありました。製品は一度作ったら終わりではなく、サロンで使い続ける中で少しずつ育っていくものだと、このころから思うようになりました。


同じ現場の人に、伝えたかった

ヘナ専門店になってしばらくした頃から、同業の美容師さんに声をかけていただく機会が増えていきました。手荒れで悩んでいる、化学薬品を使い続けることに限界を感じている——そういう声でした。

「スタイリストになれば手荒れは治る」という言葉が、業界の中で長く信じられてきました。でもそれは嘘だと、私は自分のスタッフを見て知っていました。薬剤を使い続ける限り、根本的には変わらない。ならば、その選択肢を一緒に考えたいと思いました。

全国でお話会やワークショップを開くようになったのは、そういう流れからです。「教える」というより、「自分がやってきたことを共有する」という感覚でした。Graciasで実際に使い続けてきた製品のこと、サロンの運営の中で気づいてきたこと。それを持ち寄って、一緒に考える場でした。

手荒れが原因で美容師を辞めようとしていた方が、ヘナに切り替えて現場に戻ってきた、という話を聞いたことがあります。そのとき、ああ、これは続けていくべきことだと思いました。

お話会・ワークショップの様子

使い続けているお客様のこと

長くGraciasに通ってくださっているお客様の中に、もう何年もヘナを続けている方がいます。

以前は縮毛矯正が欠かせなかった、とおっしゃっていた方がいます。薬剤でダメージが出て、またそれを矯正するために薬剤を使う——そのくり返しだったそうです。今は、自分の髪の癖を活かしたスタイルを楽しんでいると聞いています。

頻繁に染めるからこそ、刺激の強い薬剤を避けたい。そういう理由で続けてくださっている方もいます。染める回数が多いほど、何を使うかが積み重なっていく。その判断を、長く続けてくださっていることが、私には何より心強いことです。

施術後の手元

75歳まで働ける場所を

Graciasを開業して18年が経ちます。

私自身が40代を迎えたころ、漠然とした問いが出てきました。一体、いつまでこの働き方を続けられるのだろう、と。長時間労働を体力で乗り切る時代は、長くは続きません。スタッフも、私も、年齢を重ねていきます。

そこから、サロンの仕組みを少しずつ見直してきました。お客様の声をヒントに、事前予約や事前精算を取り入れたのもそのひとつです。スタッフが長期休暇を取れるようになったのも、その延長にあります。

私が目指しているのは、「75歳まで働ける環境」です。肉体的にも、精神的にも、長く健やかに続けられる場所。その基準に照らしたとき、化学薬品に頼りすぎない施術というのは、製品の話だけでなく、働く人の話でもあります。

サロンで使い続けることと、長く働き続けることは、Graciasでは同じ問いの答えです。


ECで届けるということ

ヘナを使いたくても、近くにヘナ専門店がない。そういう方が、この国にはたくさんいます。

ECで製品をお届けするようになったのは、サロンの外にいる方にも、同じ姿勢で届けたいという気持ちからでした。インドの産地で確かめ、Graciasで使い続けてきた製品を、遠くにいる方の手元にも。

自分が現場で使い続けているから、届けられる。その順番は、これからも変えるつもりはありません。

サロンで相談しながら使いたい方のために、取扱店の一覧もご用意しています。お近くのサロンで、実際に試してみてください。


── このブランドの、別の話 ──

ヘナを選ぶことになった経緯 → ヘナを選んだ理由

産地へ行って、素材を決めるまでの話 → インドへ——製品開発の始まり

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